青志社

高橋三千綱/著
『枳殻家(からたちけ)の末娘』

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枳殻家の末娘
高橋三千綱/著
『枳殻家の末娘』
発見された未刊小説。ポルノ小説?これは発酵した性愛、身を焦がす純愛小説だ

発行日: 2022年1月19日発売
定価: 本体1600円+税
サイズ: 四六判並製
ページ数: 344ページ
ISBN: 978-4-86590-128-3


【内容紹介】

発見された未刊小説
ポルノ小説?これは発酵した性愛、身を焦がす純愛小説だ
故山口瞳さんが褒めた官能文芸作品を単行本化!


編集部より
人気絶頂のロックシンガー小諸初の死からしばらくして、フリーライターの小暮京一郎に仕事の依頼が舞い込んだ。小諸初の最後の恋人キリコが告白する小諸初とのセックスだけに特化した手記を三日間の取材で作ってほしいというものだった。取材を重ねていくうちに29歳の京一郎は神秘的な美しさを秘めた18歳のキリコの不思議な肉体の魅力に引き込まれていき、ついに一線を越えて耽溺の世界に沈む。若さや美しさに隠れて、彼女にはとんでもない近親憎悪の性の秘密があった。
芥川賞作家がはじめて挑んだ激愛エンターテイメント官能小説。作家の山口瞳氏賞賛、西村賢太氏絶賛!!

高橋三千綱
故山口瞳さんにほめられた。
お礼状を出したら折り返し山口瞳さんから葉書が届いた。
〈お手紙拝見。小説(注・『カラタチ家の末娘』・未刊行)は、やはり違うなあと思って愛読しました。「ポルノを書いてはいけないなんてことはない」この点では珍しく五木寛之さんと意見が一致します。貴方の書くものは力感に溢れ、すがすがしい感じもあると常に思っています。(略)〉

『枳殻家の末娘』に寄せて より
小説家 西村賢太

 本作を「サンケイスポーツ」紙に連載時の氏は、四十五歳。円熟の壮年であり、また小説家としてもデビュー二十周年を間近に控えた、まさに脂の乗りきった時期である。
 それかあらぬか、後年の病を得てからの繊細で巧緻な短篇群に比し、ともすれば溢れる気力と体力とで良くも悪くも文章を押しきっている部分も見受けられるが、けれど文句なしに面白いエンターテインメントである。
 かような佳品が没後に再び陽の目を見ること自体を、一読者として大いに喜びたい。
 氏は、その死の間際まで書き続けた。
 悪化した肝硬変と糖尿病以外にも、他者が安直に挙げ述べるのは気が引ける程の種々の疾病をかかえながら、それでも飲んで、そして書き続けていた。
 満身創痍で、尚も書く――言うは易いが、こんなのはなかなか実践できることではない。実際に、健康時には古武士よろしくそうした大言壮語を述べつつ、イザ病に倒れて余命宣告を受けたら途端にガックリし、再びペンをとる気力も失いそれっきりとなった書き手を何人か知っている。
 だが、三千綱氏は違った。
 本当の満身創痍で、本当に最後の最後まで書き続けた。それでいて自身にも病にも気負うことなく、標榜する楽天家≠フ流儀を徹底的に貫いた。
 稀有の晩年を闘い抜いた、真物(ほんもの)の小説家であったと思う。

著者プロフィール:
高橋三千綱(たかはしみちつな)
1948年1月5日、大阪府で作家・高野三郎の長男として生まれる。2歳より東京杉並で育ち、サンフランシスコ州立大学創作科、早稲田大学第一文学部を中退。テレビ局員、ホテルマンを経てスポーツ紙記者在職中の74年『退屈しのぎ』で第17回群像新人文学賞を受賞。以後、作家に専念。78年『九月の空』で第79回芥川賞を受賞。
主な作品に『葡萄畑』『怒れど犬』『天使を誘惑』『坂道を越えた国』『猫はときどき旅に出る』など。エッセイ『こんな女と暮らしてみたい』はミリオンセラー、『真夜中のボクサー』を映画化、脚本、監督を務める。『Dr.タイフーン』『セニョールパ』といった劇画の原作も多数手がけ、近年は、時代小説に新境地をひらいていた。近作には、『さすらいの皇帝ペンギン』(集英社)、『作家がガンになって試みたこと』(岩波書店)、『悔いなく生きる男の流儀』(コスミック出版)がある。2021年8月17日逝去。
2021年11月13日、未刊の最後のエッセイ集『人間の懊悩』(青志社)刊行。




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