青志社

高橋三千綱/著
『人間の懊悩 今は呑みたい』

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人間の懊悩 今は呑みたい
高橋三千綱/著
『人間の懊悩 今は呑みたい』
2021年8月17日ガンと肝硬変によって73歳の生涯を閉じた作家の最後のエッセー集!

発行日: 2021年11月13日発売
定価: 本体1400円+税
サイズ: 四六判並製
ページ数: 248ページ
ISBN: 978-4-86590-126-9

【目次】

第1章 今は呑みたい
飲兵衛のなれの果て
再生医療費と人間の価値を測ると
健康の心地よさを求めたが
どうして生きているのか
あの入院は何だったのか
また熱い飯が食える
奇跡の人生の始まり
入院保険の予習とおさらい
馬鹿な医者が誠実な患者を殺す
命の湧き水
見放された男と忘れ去られたガン

第2章 愉しく生きる知恵
ラスベガス万歳
『天然まんが家』の心やさしい生き様
飛鳥の風は甘くとろける
瞑想はたしかに効く
こんな酒とバラの旅もある
南アフリカへ散歩に行く
これはイケる、大江戸蕎麦屋巡り
利尻島のウニで腹も心も大満腹
ひとりで歩けば運にあたる
ゴルフはバカではできない

第3章 大切な人への思い
我が妻の胸の内
我が父の宝物
50年後の希望の星となれ
酒のせいにはしたくないが
自分史について
懐かしさを思い起こすとき
書斎派の植物園
72歳で映画監督デビューをした達人
「お母さんは、仏壇の前に座って泣いている」

第4章 いまの自分と、いまいる場所
何でもやってやろう
男らしくいおう。もう、だめだぁ
あなたの器量は何億円?
「復活」など無用でござる
都会のよさが息づく美しき村
荒野の素浪人は楽しいか
「悟り」の境地を言いあてた名言
世の中は月雪花に酒に女
未来を予見する

第5章 いさぎよく生きる
女殺しのテクニック
スポーツ選手の人生に添う
人間交差点
元気の出る薬を配達する女
旅に目覚めた男
洒落男な70歳、野望の74歳
団塊の世代はよい上司になりえたか

第6章 あらためて、自由≠考える
若者よ、まずは金儲けなのである
自由な人生を想像してみよう
困った患者返上宣言
ジャカランダの花を求めて
足もとには死体や宝が眠っている
ギャンブル探検隊は、時に神に出会う
馬鹿ほど高いところを見たがる
女性の相談に見返りはあるか

第7章 強さとは何だろう
それでも女は生きていく
当たり前だが大事なことには時間がかかる
明治生まれの男の腹の据わり
災害被害を防ぐ塗料、防錆の発明家
柴犬に学ぶ、自分を曲げない強さ
脱原発へ弁護士奔る
お前は芸能へ行け

第8章 未来は何色かな
「運」とは雲を掴むようなもの
AIの弱点は密会
占いとはギャンブル指南
女は70パーセントの力で男に勝つ
なつかしい村へようこそ
老後のための修行時間
「反原発」拒否の論理
天下りの毒薬
リーダーの値段
生前整理は死んでから
秋の月は美しすぎて


【内容紹介】


媚びず、群れず、孤高に生きた!
何事につけ不精で面倒くさがり屋なので、生前整理なんて考えも及ばない。それより私は生きるだけで必死なのである。
ある時は強く、ある時はやさしく、ある時はさ迷って−−。
自由人、高橋三千綱の本領がここにある

芥川賞受賞後、流行作家として時代を疾走して逝った最後の無頼派。限られた時の中で遺した、帰らざる日々をめぐる「幸福道」

生前整理は死んでから
 毎日が必死で生きていると同時に、毎日が生前整理なのである。自然に任せているだけで周囲の物が淘汰されていく。先日もパリ行きの資金に少しでも加算しようと古本屋を家に呼んで、埃をかぶっていた本を売り払った。稀少本もあったが、それは家人にとっては全く意味をなさないものであった。それらをあわせるとパリ行きの航空券代になった。ただし酒代には足りなかったので、ゴルフのコンペで得たブランド品のバッグを売ると10万円近くになった。生前整理は実に合理的にできている。
 私の母は85歳まで生命保険の外交員をやっていた。(略)
またやろうかと提案したら、もういい、代わりに戒名を息子のあんたが作ってくれといわれた。ついでに私の戒名もつくった。それが親子の生前整理であった。
 6年前私は胃の末期ガンを宣告されたが、治療は拒んで風のおもむくままに生きている。先日の検査ではガンが消失していた。ガンを宣告した医者は、あっけにとられていた。人生とは面白い。それで、生前整理は死んでから考えようと思っている。
(本文より)



【著者紹介】

高橋三千綱(たかはし みちつな)


1948年1月5日、大阪府で作家・高野三郎の長男として生まれる。2歳より東京杉並で育つ。サンフランシスコ州立大学創作科、早稲田大学第一文学部を中退。テレビ局員、ホテルマンを経てスポーツ紙記者在職中の74年『退屈しのぎ』で第17回群像新人文学賞を受賞。以後、作家に専念。78年『九月の空』で第79回芥川賞を受賞。
主な作品に『葡萄畑』『怒れど犬』『天使を誘惑』『坂道を越えた国』『猫はときどき旅に出る』など。エッセイ『こんな女と暮らしてみたい』はミリオンセラー、『真夜中のボクサー』を映画化、脚本、監督を務める。『Dr.タイフーン』『セニョールパ』といった劇画の原作も多数手がけ、近年は、時代小説に新境地をひらいていた。近作には、『さすらいの皇帝ペンギン』(集英社)、『作家がガンになって試みたこと』(岩波書店)、『悔いなく生きる男の流儀』(コスミック出版)がある。2021年8月17日逝去。



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