青志社

須田セツ子/著
『私がしたことは殺人ですか?』

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私がしたことは殺人ですか?
須田セツ子/著 
『私がしたことは殺人ですか?』
新装増補版
最期をどう看取るか。もう他人事ではない高齢化社会の延命治療を考える!

発行日: 2024年1月25日発売
定価: 本体1500円+税
サイズ: 四六判並製
ページ数: 264ページ
ISBN: 978-4-86590-162-7

【内容】

続々と重くのしかかる介護の問題
医療の問題!

「殺人か、尊厳死か」延命治療の中止が殺人罪に問われた「川崎協同病院事件」の女医の独白記を新装増補して再び発刊。

あれから13年、待ったなしの終末医療問題がさらに深刻化。

この本を手にとってくださった
あなたにお聞きしたいのです。

私がしたことは殺人ですか?

安らかな死≠考える

 今や人口の3割が高齢者という時代です。この超高齢化社会において、川崎協同病院事件をあらためて振り返ることは、少なくない意味がある――そう考え、本書の新版を出す決意をいたしました。
 看取りの医療の問題は永遠のテーマであり結論などありません。ただ医療者のためでも、司法のためでも、ましてやお金のためでもなく、私たちみんなの幸せのために考えていただきたいと願っています。だれもが、「老い」の先に来る「死」を避けられないのですから。
 高齢化社会はすでに始まっています。お年寄やその家族、医療者に悲劇が起きないよう、この本が少しでもお役に立つのならば、こんな幸せなことはありません。
                              須田セツ子 

 本書の旧版が2010年4月に出版されてから、14年近い歳月が過ぎました。
「殺人か、尊厳死か」─。延命治療の中止が殺人罪に問われた川崎協同病院事件の当事者として、思いのたけを綴った旧版は、少なくない反響を呼びました。
事件を題材にした「終の信託」という映画がつくられましたし、小説も発表されました。
 今後、日本社会はますます高齢化が進んでいきます。終末医療の問題も、ますます大きなテーマになっていくでしょう。生と死、医療、司法、家族……多くの問題を含んだ終末医療について、みなさんはどう考えるでしょうか。本書がその一助となれば、著者としてこれに勝る喜びはありません。
                              須田セツ子

目次:

新装版のはじめに  13年の歳月  
はじめに  川崎協同病院事件とは

第1章 患者Aさんの死
98年11月16日、この日、病室で起きたこと

患者Aさんの死/心肺停止/植物状態
気管内チューブ/一般病棟
「この管をはずしてください」
予期せぬ急変/筋弛緩剤

第2章 逮捕
沈黙がいっそう私を不利にした 
「あんたは殺人者だ」/依願退職
いやな予感/リーク/四面楚歌
新聞報道/逮捕/逮捕の余波/留置場

第3章 裁判 ―― 横浜地方裁判所
私が「殺意」を持って「殺害」した!?
不協和音/起訴状/証拠調べ/誤算
断絶/弁護士降板/結審

第4章 有罪判決
この判決の裏側に潜むもの
認定犯罪事実/病状説明/診療記録
責任の所在/再発防止/マスコミ報道
主治医の独断/虚偽記載
死亡診断書/先入観

第5章 控訴審 ―― 東京高等裁判所
裁判は第一審が「すべて」なのです

控訴申立て/破棄自判/抜管の要請/争点 
注射か点滴か/直接の死因/検証
             
第6章 上告 ―― 最高裁判所
尊厳死のガイドライン

上告/最高裁判所/延命治療の中止
患者の自己決定権/治療義務の限界説
ガイドラインの問題/最高裁判決
       
第7章 私がしたことは殺人ですか?

殺人罪確定/救急医療現場の「終末期」 
ガイドラインとグループ・カンファレンス
人間らしい死/「寝たきり」の終末期
病院は「死なせてくれない」ところ 
白でも黒でもない領域/在宅医療の現場で 
医師と患者/連帯感

終わりに
新装版の終わりに 死という結末



著者プロフィール:
須田セツ子(すだ・せつこ

元・川崎協同病院呼吸器内科部長、現・大倉山診療所院長。1979 年横浜市立大学医学部卒。80 年より川崎協同病院に勤務するが、1998 年11月、入院中の男性患者(当時58 歳)の延命治療の中止によって、死亡させたとして殺人罪に問われた。
2009 年12月、最高裁は上告を棄却し、懲役1年6月、執行猶予3 年とした2 審、東京高裁判決を確定させた。この判決によって、今後の終末医療、看取り医療ついての「あり方」が問われ、日本中に大きな波紋を投げかけている。2002 年に大倉山診療所を開業、地域に密着した医療活動を行っている。

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