青志社

島崎邦彦/著
『3.11 大津波の対策を邪魔した男たち』

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3.11 大津波の対策を邪魔した男たち
島崎邦彦/著 
『3.11 大津波の対策を邪魔した男たち』
.11の大津波から12年。渾身のノンフィクション

発行日: 2023年3月24日発売
定価: 本体1400円+税
サイズ: 四六判並製
ページ数: 248ページ
ISBN: 978-4-86590-154-2

【内容】
3.11の大津波から12年
渾身のノンフィクション

国の地震対策本部責任者で地震学者が内部から告発!
きちんと対策すれば、大津波地震による福島原発の事故は防げ多くの人たちが助かった。
しかし東京電力と国は、対策をとらなかった。
いったい、何があったのか? なぜ、そうなったのか?
そして、いまも状況は変わっていない。


二〇一一年の3・11大津波と原発事故は、多くの人たちの命を、暮らしを、家族と友を……全てを奪った。今もたくさんの人たちが苦しんでいる。
この災いは、どのようにして起こったのか。なぜ、止めることができなかったのか。やりきれない思いを胸の奥にとどめて、多くの人たちが忙しい毎日を過ごしているのではないか。
何が起こったのか。それを知って欲しいと思い、私はこれまで科学雑誌で書いてきた。この本には、これまで書いたことのまとめと、あたらしくわかったことを書いた。そして私が思ったこと、感じたことも書いた。この災害は人災だと思う。
大津波の警告は、二〇〇二年の夏、すでに発表されていた。この警告に従って対策していれば、災いは防げたのだ。3・11大津波の被害も原発事故も防ぐことができたのである。
「まえがき」より

まわりで、おかしなことが起こっている。それはわかった。
今思えば、まわりに多くの原発関係者がいた。その人たちは何が起こっているかを、わかっていたと思う。が、声をあげた人はわずかだった。その声は多くの人には伝わらなかった。もし私が背後の動きを察することができたらと、本書を書き終えてから想像する。結局、何もできなかったかもしれない。
 大事なことは声をあげること、広く声を伝えること、そしてみなで支えることだ。本書がその一助になれば、これにまさる喜びはない。
島崎邦彦 


島崎邦彦(しまざき くにひこ)
東京大学名誉教授・元日本地震学会会長

1946 年 東京生まれ
1968 年 東京大学理学部地球物理学科卒業
1970 年 東京大学大学院修士課程終了
1974 年 理学博士(東京大学)
1970 〜 1980 年 東京大学地震研究所助手
1980 〜 1989 年 東京大学地震研究所助教授
1989 〜 2009 年 東京大学地震研究所教授
1995 〜 2012 年 地震調査委員会委員、長期評価部会長
2001 〜 2004 年 海溝型分科会(第一期)主査
2006 〜 2008 年 日本地震学会会長
2009 年  東京大学地震研究所教授を定年退職
2009 年〜 東京大学名誉教授
2012 〜 2014 年 原子力規制委員会委員長代理


目次:

まえがき
主な登場人物
原子力ムラ相関図

第一章 東京電力、ウソで保安院の要求を断る

地震学の専門家として告発する
3・11の大津波は人災だった
二〇〇二年八月一日
二〇〇二年八月五日、保安院からの要求
隠された事実
谷岡・佐竹論文の怪
政府、四省庁の報告書

第二章 不都合なる津波評価

『津波評価技術』
東京電力に都合の悪い海溝型分科会
地震と津波の専門家たちの関係
『津波評価技術』と「長期評価」


第三章発表を事前につぶす動き

内閣府の圧力
原子力ムラの掟
「発表内容を変える」内閣府からの突然のメール
上から目線の内閣府に抵抗する地震本部
大臣どうしの軋轢
津波や地震の警報をゆがめる動き


第四章問題は津波地震、それを隠そうとする愚

原発は大丈夫か?
問題は津波地震
内閣府の圧力について話す
政府事故調の知らん顔
「長期評価」後の地震調査委員会のタブー

第五章津波や地震に備える必要がない、とは

ねじ曲げられた「長期評価」
中央防災会議
一〇メートルを超える津波が出ないように
福島県沖の津波地震は対象外
北海道ワーキンググループの役割
福島県沖の津波
三陸の津波地震
防災の対象とする地震とは
中間報告の記者会見で消えた福島県沖の津波地震対策
ゆるい対策の地域で大多数の人が犠牲になった

第六章津波の予見性

信頼度と確実度も内閣府に都合のいいように強制された
紛糾する調査委員会幹部打ち合わせ
確実度が信頼度に
信頼度をめぐるフラストレーション
阪神・淡路大震災後の新指針
新指針による見直し
最も対策が必要とされた福島第一原発
見直しの中間報告の問題点
福島第一原発の津波計算
専門家に意見書を書かせる
仙台高裁判決
「長期評価」をめぐる裁判

第七章痛恨、津波マグニチュード8・2

「長期評価」はなぜ書き直しされたのか
東京電力と阿部勝征さんとの会合
福島第一原発に打ち上げる津波の高さ
阿部論文を詳しく紹介する

第八章東京電力が影で動かす『新・津波評価技術』

東京電力による専門家への根回し
見直しの中間報告が認められた
ないがしろにされた「長期評価」
間に合わない対策
対策をとるのも一つ。無視するのも一つ
東京電力の津波堆積物調査
そして対策はされなかった
貞観地震の断層モデルは使えない

第九章陸の奥まで襲う津波

貞観地震の大津波
五年計画の調査でわかった貞観津波
保安院と東京電力の貞観地震に対する根深い相違
「長期評価」第二版(案)
強い警告になるか
秘密会合での書き換え

第十章こうして3・11津波地震の真実は隠された

想定外ではなかった
なぜわざわざ秘密会合を開いたのか
電力会社と意見交換をしたい
二〇一一年二月十七日の秘密日程
保安院と地震本部事務局の秘密会合
3・11臨時地震調査委員会
後出しジャンケン
3・11関連年表

あとがき 

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