二本松俊邦・二本松昭宏/著『福知山市動物園 みわちゃんとウリ坊からの贈り物』
二本松俊邦・二本松昭宏/著
『福知山市動物園 みわちゃんとウリ坊からの贈り物』
京都・福知山市動物園の園長奮闘記と、子ザルのみわちゃんとウリ坊、誕生秘話
発行日
: 2026年5月23日発売
定価
: 本体1700円+税
サイズ
: 四六判並製
ページ数
: 264ページ
ISBN
: 978-4-86590-203-7
【内容】
ほんまもんの奇跡
とっておきの秘話と秘蔵写真51点掲載
初めて明かされる、小さな町の小さな動物園の小さな仲間たちと園長父さん
孤児として育った子ザルのみわちゃんとイノシシの子ども、ウリ坊。
この二匹がやがてテレビ、新聞に取り上げられて日本中の人の心を温め、一躍有名になった福知山市動物園。本書は、その奮闘記を、二本松俊邦前園長と、子息で獣医師の二本松昭宏さんによって共著として出版したものです。
願うことは一つです。
この動物園が、小さな町の動物園であり続けてほしい、ということです。
園長時代を入れて、三十三年間を一言で言うなら「ただただ一生懸命だった」それに尽きます。
だからこそ若い人に言いたいことがあります。
楽な方へ行かないでほしい、近道ばかり選ばないでほしい、回り道でもいい。必死にやったことは必ず身につき、花が咲きます。
「苦労してもええから、正面突破せえ」それだけです。
二本松俊邦
京都府福知山市の小さな動物園「福知山市動物園」――。
朝の園内は、まだ人の波ができる前の、静かな時間でした。
開園を待つ門の向こうに、ちらほらと家族連れの姿が見えます。
園路には昨夜の露がうっすら残り、踏みしめると、砂利が小さくキュキュと鳴る。
鳥舎から聞こえる羽音と、遠くで鳴くフラミンゴの声。
その一つひとつが、今日も一日が始まることを知らせています。
「ほな、行こか」
柵越しに、私がそう声をかけると、子ザルのみわちゃんがこちらを振り向きました。
その目は、ただ音に反応したというよりも、「何か始まるぞ!」と分かっているような表情でした。
「散歩!」
その言葉を発した瞬間、みわちゃんの体が弾みます。
みわちゃんは、地面を蹴るように走り出し、迷いなくイノシシの子どものウリ坊のそばへ寄ったのです。そして、ひらりとウリ坊の背中に飛び乗ります。
それがあまりに自然で、何度も繰り返してきた動きのように見えます。
二匹が出会ってまだ一週間ほどです。
それでも、ずっと前から一緒にいたような息の合った動きでした。
午前中のただの散歩です。この二匹が、やがて町を越え、テレビや新聞に取り上げられ、日本中の人の心をあたためる存在になるとは――。
その時は、まだ誰も知らなかったのです。
「プロローグ」より
【目次】
プロローグ――二本松俊邦
第一章 山あいの町の小さな動物園
「福知山のために」動物園が欲しい
夢を断られ続けた男が、偶然、夢の入口に立つ
福知山に「動物がいる場所」が生まれた
五年ごとに増える小動物、少しずつ「動物園」の形に近づく
昭和四十年、我が家の事情で動物園の移転の話は一度つぶれた
昭和五十年、やっと父幸男の夢が叶い初代園長に
畑を荒らし駆除対策のサルや小鳥、フラミンゴ、ヤギなどでスタート
無料だった時代の「にぎわい」
本物に代わって剥製のライオンに群がる子どもたち
第二章 父の影響も受け、時計職人から園長をめざす
時計職人を「選んだ」のは二本松家の家業だったから
家業を継がなかったらどんな時計職人として生きただろう
修行時代は「優しいいじめ」でガンガン鍛えられた
私のモットーは一貫していた。「断らない」「よそができないことをする」
一番忙しかった時期、国鉄の時計の修理が舞い込む
時計と宝石とペットが同居するなんでも屋≠セった
商売で学んだ、「よそが、しないことをする」ということ
父からの動物園の手伝いを聞いた時「荷が重い」と思った
家族は反対しなかった。妻は「体だけは大事に」と送り出してくれた
時計職人の技が、動物園で活かされるとは……
経営感覚は、時計店時代で身につけた
環境が変わったことによって難病が治った
三代目園長を引き受けたことに、これっぽっちの迷いもなかった
第三章 動物園の危機に直面した
「お客が減った」と実感したのは、私ではなく周囲だった
経営改革に直面した
「触れられる」「餌やりできる」は、ただのサービスではなかった
市が頭を抱え込んだ理由
来園者が少ない日の園内は、次に備えて「整える日」だった
動物の「餌の中身」を工夫した
餌の与えすぎには要注意
お客さんが少ない日にする仕事も、これまた大変だった
工夫の積み重ねが、園の体力になる
まず、園の第一印象を変える
「事故のない仕組み」にしていくのが、園長の仕事だった
経営危機を乗り越えて、誇りが生まれた
五〇円の餌が、動物園を未知の体験の場所≠ノした
第四章 どうやったらみんなが動物園に来てくれる!?
第五章 みわちゃんとウリ坊、スター誕生!
ウリ坊が来た日―深い溝の底から助け上げた
みわちゃんが来た日―崖の下で母ザルにすがって泣いていた
子ザルとイノシシの子ども、運命の同居
「みわちゃん」「ウリ坊」という名前が、決まった
二匹はこうして相棒になった
二匹コンビはまるで兄弟、すべてが自然だった
「NHK京都」から全国へ放送され、一気にブレイク
車、車、車、目指すは「みわちゃんとウリ坊!」福知山が渋滞する
入場者数、一日で四七〇〇人のフィーバー
「次のショーは何時?」―ショーじゃないっていうの
アライグマにみわちゃんがやられた! すぐに夕方のニュースに
みわちゃん、ウリ坊、散歩の再開
マスコミの場所取り争い、「一番いい場所を取るのは誰や!」
みわちゃん不在の一日、ウリ坊は意外と平気だった
ブームにみんな疲れた。でも、人生の宝物になった
福知山線事故のイメージを吹き飛ばした、みわちゃんとウリ坊の温かさ
成長と共に、やがて訪れた引退の運命
セレモニーで二匹に渡された卒業証書
猿回しの関係者からのスカウトを断る
その後のみわちゃんとウリ坊
みわちゃんの脱走事件
みわちゃん、ウリ坊、別々の生活へ
みわちゃんが、猿山に入れられない大きな理由
二匹が私たちに教えてくれたこと
第六章 思い出の動物たち
レッサーパンダがやってきた
排泄物の処理と残菜の肥料化
コウノトリの保護と治療
動物園は、努力の積み重ねによって甲子園と同じ大きさに
子どもから大人までみんなに愛されたアライグマのランちゃん
桃太郎と女優の瀧本美織さん
ロバの背中に立つヤギ、まさにブレーメンの音楽隊
家を空ける園長、家を回していた妻
何か起きた時に必ず一緒に動いてくれた家内のちとせ
息子、昭宏が獣医学科を目指した理わけ由
初代園長である父の夢が、私を通り越して孫へ届く
終章 老兵は黙って去るのみ
引退への流れ
寂しさ半分、ほっとした気持ち半分
園長でなくなる自分を想像する
後悔は、守れなかった命のこと
動物園は、私の人生を変えた場所
地域と未来へ―小さな町に動物園がある意味
三十三年を一言で言うなら―正面突破
最後に
本書に寄せて――二本松昭宏
【著者紹介】
二本松 俊邦(にほんまつ・としくに)
1945年兵庫県西宮市生まれ。戦後まもなく福知山に移り、家業の時計店を手伝いながら動物園と関わる。1995年に福知山市動物園副園長に就任、1999年より園長。飼育環境の改善や来園者とのふれあいを重視した運営で動物園を支えた。2010年、ニホンザル「みわ」とイノシシ「ウリ坊」の共生が全国的な話題となる。2010年12月、写真集『みわちゃんとウリ坊』(青志社)監修。2026年退任。
二本松 昭宏(にほんまつ・あきひろ)
1972年京都府福知山市生まれ。北里大学獣医学科卒業。代診を経て2003年に地元でにほんまつ動物病院を開業。2004年より福知山市動物園に関わり、獣医師として長年現場を支える。コウノトリをはじめとする野生動物の診療にも携わる。本書では構成・執筆を担当。動物と向き合う日々の中で、「命の大切さ」とは何かを考え続けている。
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